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心臓血管外科では、新生児から大人まで先天性の心臓病に対する外科治療を行っています。

主な術式

1 心房中隔欠損閉鎖術

心房中隔欠損(ASD)は、右心房と左心房の間の壁に穴が開いている疾患です。穴のサイズが大きいと左心房から右心房へ血液が流入し、肺へ流れる血液量が増えます。

心房中隔欠損閉鎖術(図1)治療をしないと大きくなって肺の血圧が高くなり(肺高血圧)、不整脈の原因となります。現在はカテーテルでデバイスによりASDを閉鎖するやり方と手術で穴を塞ぐやり方があります。デバイス治療は穴の位置、形態によっては閉じることができないことがあります。手術は人工心肺を使用し、穴を自己心膜パッチで閉鎖します(図1)。

2 心室中隔欠損閉鎖術

心室中隔欠損(VSD)は右心室と左心室の間の壁に穴が開いている疾患で、先天性心疾患の中で最も頻度が多いものです。穴が大きければ生まれてすぐに心不全の症状が出る場合があります。 手術は人工心肺を使用し、穴をパッチで閉鎖します。手術は人工心肺を使用し、穴をパッチで閉鎖します(図2)。

心室中隔欠損閉鎖術(図2)体重が小さい場合やその他の合併疾患がある場合、肺動脈に人工的な狭窄を作り(肺動脈絞扼術)心不全をコントロールした後、二期的にVSD閉鎖をする場合があります。

3 ファロー四徴症根治術

ファロー四徴症はVSD、肺動脈狭窄、大動脈騎乗、右室肥大からなる病気です。出生後は肺動脈狭窄の程度により、チアノーゼが生じます。月齢で6か月、体重で6㎏以上を目安に、VSDを閉鎖して肺動脈狭窄を広げる手術を行います(図3)。月齢、体重の基準に至る前にチアノーゼが強くなる場合には、大動脈から肺動脈に人工血管をつなげ、肺への血流を増やすシャント作成術を行う場合があります。

ファロー四徴症根治術(図3)

4 単心室に対する外科治療

心臓には右心室と左心室があります。右心室は肺へ血液を送り、肺でガス交換が行われます。左心室はガス交換された血液を全身へ送る仕事をしています。心臓病の中には右心室と左心室のサイズのバランスが悪い病気があり、それぞれの役割を果たせない場合があります。そのような病態を機能的単心室と呼んでいます。機能的単心室の外科治療の目標は、二つの心室には全身へ血液を送る仕事に専念してもらい、肺へは心室を介せず直接静脈から流れてもらえるような道筋を作ることです(図6、7)。 生後3~6か月で両方向性グレン術を行い、生後1~2年でフォンタン手術を行います。両方向性グレン術の前に心臓や肺の条件を整えるために、シャント作成や肺動脈絞扼術を行う場合があります(図4、5)。

単心室に対する外科治療(図4〜7)

特徴

1 胎児診断から始める心臓病治療
近年の胎児エコー技術の進歩により、多くの心臓病が出生前に診断されるようになりました。胎児診断は、医療者にとっては治療方針を検討する時間的余裕が生まれ、出生前から多職種のチームで綿密な治療計画を立てることができます。家族にとっては病気や治療について時間をかけて説明を受け、理解することができます。そして何より心臓病をもって生まれてくる赤ちゃんにとっては、診断や治療までの時間を短縮し、移送等のリスクを減らすことができます。当院では女性診療科・産科、新生児内科、小児科、心臓血管外科の連携により、胎児診断から新生児管理、外科治療までシームレスな診療体制を築いています。
胎児診断から心臓外科手術を行った疾患:三尖弁閉鎖、完全型房室中隔欠損、心室中隔欠損、ファロー四徴症、完全大血管転位、内臓錯位・総肺静脈還流異常、右室低形成を伴う房室中隔欠損等

単心室に対する外科治療(図4〜7)

2 右腋窩小切開による心臓手術
心臓外科手術は、従来胸の中央を縦に切開して行ってきました。当院では心房中隔欠損(ASD)などのシンプルな心臓病には、右腋の下に身長の5~7%程度の小さな切開を置き、心臓手術を行っています。美容的にも優れている上、術後早く回復します。

3 神経発達フォローアップ
手術後は手術した心臓が良く機能しているか確認するだけでなく、発育、神経発達などの評価を定期的に行い、手術を受けるこどもの成長について全面的にサポートします。小児科および臨床心理士と連携して行います。

4 成人期を迎えた先天性心臓病の患者さんのフォローアップ
幼少期に心臓病の手術を受けた患者さんが大人になった後の外来経過観察を行っています。小さな時期に人工弁や人工血管を使用した手術を受けると、大人になってサイズのミスマッチが起こることがあります。そのような場合適切なサイズの人工弁や人工血管に交換する手術が必要なことがあります(ファロー四徴症の術後など)。また機能的単心室でフォンタン術を受けた患者さん、修正大血管転位で右心室が全身へ血液を送る役割を担っている患者さんは、心機能が安定しているか、不整脈が起きていないか等、定期的な評価を行っています。小児科(循環器)、循環器内科(成人)と連携して診療しています。